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押し寄せる波
ゆっくり振り返る余裕もなく・・・というよりは、通院している間、考えないようにしていたのかもしれない。
死んだポッケのこと。仕事を辞めたこと。長年住んだ家を取り壊したこと。そして友人を亡くしたこと。 思いきり泣きたいのに、きっかけがない。 本当は涙も出ないほど、ドライなのだろうかと、自分の心を遠くから眺めてみる。 そうかもしれない。違うのかもしれない。どちらなのかよくわからない。分からないままにしておく。自分を責めても何にもならないから。でもー ポッケは生きたかったのだろう。 もっと面倒見てやりたかった。でもあと一日遅れていたら、私の左目はダメになっていた。ゴメン。引きかえにしてしまった・・・ 友人にとって私は、居心地良い存在だっただろうか。随分めんどくさいやつだったに違いない。申し訳ないことをした。でももう謝れない。 「終ったんだよ」 友人のお母さんが私になんどかそう言った。涙を見せず気丈にふるまうおばさんに危うさを感じながら、私の中に「終わった」という言葉が刻み込まれる。終わりは必ず来る。とてもさりげなく。 言葉も情景も感触も、不意に寄せてはまた引いてゆく。 揺れながら押し寄せる感情は、不発のまま消え去る。出し切れない不安定感が残り続ける。 そんな気持ちを抱えた私から、ポッケの鳴き声も、友の話し声も、少しずつ遠ざかってゆこうとしている。 申し訳ございませんが、記事に直接関係のないTB、コメントは削除させていただく場合があります。ご了承ください。 検索
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1 2010年 03月 30日
![]() ストーリー:以登(北川景子)は東北の小藩・海坂藩の組頭、寺井甚左衛門(國村隼)の一人娘。剣術に長けていながらその道に生きることのできなかった甚左衛門により、幼い頃から剣術の手ほどきを受けてきた以登は、男にも劣らぬ腕前を持っている。 ある春の日。桜の花見に出かけた以登に、一人の男が声をかけてきた。彼は過日以登が訪れた道場の高弟、江口孫四郎(宮尾俊太郎)。以登が出向いた際、たまたま不在だったので、いずれぜひ手合わせを願いたいという。ほどなくして剣を交えた以登は、自分を女と侮ることなく立ち会ってくれた孫四郎にほのかな恋心を抱くのだが・・・ 冒頭、桜が美しく咲き誇るシーンを見て、すぐに東山紀之の『山桜』を思い出した。『山桜』も同じ海坂藩を描いた物語である。 下女のおふさと連れ立って桜の下を歩く以登はしかし、女性のたおやかさというよりは女剣士の凛々しさを湛えている。彼女の眉間によった縦シワが結構好き。 そしてそんな彼女をきゅんとさせる孫四郎がこれまた清廉な佇まいでいい。演じるのはバレエダンサーの宮尾俊太郎。トーク番組で見るときは柔らかな雰囲気の、今風の美男子と感じていたが、意外にかつらが似合うのでびっくり。物語の中の孫四郎は「こんな人ならぜひ・・・」と思ってしまう憧れの存在だ。 しかし、しかし。私がこの映画の中で見つけた「理想の男」は彼ではないのだ。 孫四郎は下級武士の家柄の次男か三男で、以登の父は彼の人間性を認めながらも婿として迎えるつもりはまったくない。それどころか以登には江戸に行ったままなかなか戻らない許婚がいるのだ。 この許婚、片桐才助(甲本雅裕)は、以登の家を訪れては大飯を遠慮なく食らいヘラヘラしている、何とも冴えない男。 ところがでくの坊と思った才助が見せる的確な働きぶりと、さりげなさを装いながら実は万全の心遣いに、私はもぅ、完全に参ってしまった。今までは“昼行灯”という言葉を聞くと、忠臣蔵の大石内蔵助を思い浮かべた(←かの一大事が起こる前、内蔵助がそう呼ばれていたと小説で読んだことがあるので)が、これからはこの才助を思い出すことになりそうだ。 語りすぎずに思いのたけを伝える―古きよき日本の表現の慎ましさが心にしみる一作・・・ 機会があったらぜひこの映画で“私の理想の男”を見てやってくださいませ。 『花のあと』2010年日本 原作:藤沢周平「花のあと」 監督:中西健二 出演:北川景子、甲本雅裕、宮尾俊太郎、國村隼、市川亀治郎、佐藤めぐみほか ▲
by hikoso
| 2010-03-30 23:03
| 映画
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2010年 03月 24日
![]() 午後1時開演ということで11時台の新幹線に乗り、会場に着いたのが1時15分前(埼京線与野本町駅西口下車、徒歩7分)。おお、でかいポスターが!! 席はAから始まるP列。ステージを正面に見ると、これはうしろから二列目で、私の席は左端のほう。でもステージはとても近くに見える。 チケット購入の際、ステージ上にも客席があると聞いていたがたしかにそうで、こちらから見るとステージの向こう側に、こちら向きの客席が見えるかたち。 細かく書けばきりがないのでかいつまんで。 1時スタートで舞台挨拶まで終了したのが夜の9時15分。その間、15分の休憩が2回(・・・3回だっけ?)と60分の大休憩が1回。大休憩の時に夕食をとった(このときだけは客席での飲食OK)。開演されると客席中央の通路まで使って所狭しと走りまわる役者さんたちの迫力に圧倒される。 ヘンリー6世は父親のあとを継ぎ幼少時に即位するが、彼の在位中には政権争奪戦が飽くことなく繰り返される。ヘンリー自身には野心もなく、安穏な日々を過ごすことが望み。そんなヘンリーの浮世離れした存在と、彼の取り巻きたちの間に渦巻く覇権争い、さらには民衆の蜂起、フランスとの戦いなどなどが描かれてゆく。 ![]() でもパンフレットに載っていた蜷川氏のコメントをみて少し気が楽になった。「ぼくは歴史物はキライなんです。・・・・・ましてや外国の歴史物なんて!」「芝居は目と耳から入ってくる情報がすべてです。戯曲を読んでいない人が観に来て、「あぁ、面白かった」と言って帰るものだと・・・」 そうか。こんな私だけどあながちダメダメな客というわけでもないってわけだ。 上川隆也さんは、ヘンリー6世という役柄ゆえに主演ながら目の行きにくいポジションのように思える。ただ、この役柄は案外奥深いのかも知れず、侮りがたしという気が。 大竹しのぶさんはジャンヌ・ダルクとヘンリーの王妃マーガレットの二役。この人が演じ始めるともう目が釘付け。特にマーガレットについては、これ以上何も出ないと思わされてしまうほど。まさに演じ切っているという感じが。 さて、高岡君が登場したのは午後6時40分ごろ(彼の出番は後編だから)。ヨーク侯の息子・リチャード役の彼は、その体形ゆえにひと目でほかの役者さんとの区別がつく。良く通る声がステージに美しく響いた。殺陣(と言っていいのか)のシーンもスピード感があって、リチャードの強さが伝わってきた。事前に読んだ彼のブログに“オフの時も役が抜けない”と書いてあったのでちょっと心配していたのだけれど、この調子でステージを勤め上げてほしい。 終演後、埼京線が事故で動かないという報にたじろいだが、何とか帰途に着き、11時前に帰宅。 今まで敬遠していた舞台を身近に感じることができて、今回の思い切った観劇ツアーは成功裏に終わった。 好きな俳優さんが出ていたり、おもしろい題材の作品が目に留まったら、また見に行こう。 『彩の国シェークスピア・シリーズ第22弾 ヘンリー六世』埼玉公演 彩の国さいたま芸術劇場大ホール 演出・芸術監督:蜷川幸雄 作:W.シェイクスピア 翻訳:松岡和子 構成:河合祥一郎 出演:上川隆也、大竹しのぶ、高岡蒼甫、池内博之、長谷川博己、草刈民代、吉田鋼太郎、瑳川哲朗ほか ▲
by hikoso
| 2010-03-24 23:53
| 日々のくらし
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2010年 03月 21日
![]() 昨日はアメリカ人の青年がやってきて「銀行用の印鑑を作りたいが日本語ワカラナイ」という。ドキドキしながら「OK!」と言い、頭の中にある単語を総動員、なんとか受注を完了した。 先月は台湾の若い女性が印鑑を注文してくれたが、お渡し日には国に帰ってしまうというので送ってあげることに。郵送を示す漢字は「送」ではなく「寄」なんだなぁなどと再確認、いい勉強になった。 海外のお客さんばかりでなく、体の不自由なお客さんも時々みえるので、速やかに任務を遂行するためにはいろんな知恵を総動員しなくてはならない。だからうまくいくとほっとし、うれしさもひとしお。 そんな経験の中で分ってきたのは、言葉によるコミュニケーションが巧くいかない相手であっても、書いたり描いたりジェスチャーしたりといろんな手段を使うと、かなり用が足りるということだ。 で。この映画は、難聴の青年が自転車で旅しながら様々な風物を見、出会った人とコミュニケーションをとってゆくドキュメンタリータッチの作品。 ストーリー:大学卒業間近の阿明(トン・ミンシャン)は、自転車で台湾を一周する旅に出る。幼い頃から難聴である彼の旅は、傍から見るとほんの少しだけ危なっかしい。が、雨風にも負けず、人と関わりながら彼の足は力強くペダルをこぎ続ける。 主人公阿明の穏やかな眼差しとやわらかな笑顔がとても印象深い。大学生となり、こうして自転車で一人旅できるまでに成長した彼を陰で支えた家族の深い思いを、その表情から窺い知ることができるようだ。 彼が出会う風景にも人にも、台湾の今と昔が混在している。 今どきのゲーム好きな青年、突然工場を解雇され、それに抗議するおばさんたち、旅の途中の海外女性、映画を撮っているロケ隊・・・その気になれば、画面の中から次々と様々なメッセージが読み取れそう。この作品は作り物でない躍動感に溢れている。 路又長又遠 彼の進むべき道はまだ長く果てしない。学ぶべきこともたくさんあるだろう。でも彼は知っている。じっと待っていたのでは何も訪れないということを。 向かい風の旅はきついが、自分の足で進むしかないのだ。 『練習曲』2007年台湾 監督:チェン・ホァイエン 出演:トン・ミンシャンほか ▲
by hikoso
| 2010-03-21 11:08
| 香港・台湾・中国映画
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2010年 03月 20日
![]() 作家・筒井康隆が「最後の喫煙者」という短編を書いたのは、昭和60年代だったろうか。当時絵空事としか思えず笑い飛ばしていたあの物語が、こんなふうに現実味を帯びてくるとは・・・・他にも筒井作品の中で現実を予測し当てた内容のものはいくつかあり、確かな目を持っている人はいるものだなぁ、と驚く。 ![]() それはともかく。 夫の実家でこんなものを見つけたので画像をアップ。 タバコのパッケージに絵柄や写真の入っているものがあれこれとってあって、その中のひとつ。義母はこういうものを集めるのが好きな人なのだ。 1980年代の香港、かも。クリックで大きくしてみてくださいね。 ▲
by hikoso
| 2010-03-20 17:33
| 日々のくらし
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2010年 03月 18日
![]() 「流星花園」のレイニー・ヤンと台湾のイケメン俳優、マイク・ハーが主役のラブコメディで原作は日本のコミックス。ドラマの原題は悪魔在身邊。 あらすじ:憧れの人宛てのラブレターを間違って渡してしまうという、事故みたいな知り合い方をした大学生の阿猛と茅乃。悪魔のように傲慢な男・阿猛は、なんと茅乃の母・時子の恋人であり、大学の理事長・江戸川守の息子だった! 悪魔という単語に合せてか、主人公の呼び名は阿猛。そして演じるマイク・ハーの目つきがなかなかに怖い。なんてドラマだろうと思いながらも、良くありがちなラブコメとはひと味ちがっていて魅力的なのだ。 ![]() 魅力2:全体的に明るい展開で、問題が生じても比較的すみやかに、すっきり解決する。もともとの脚本のなせる業か、翻訳の妙なのか、ど真ん中のセリフがいくつかあって感心。 ![]() マイク・ハーの、悪魔的な表情と優しい表情(とげとげしい外面と優しい内面といってもいいかしら)のギャップが楽しいし、茅乃役レイニー・ヤンの、変顔OKなコミカルさもいい。 ![]() 忘れてならないのがバスケ部のキャプテン・上条(王傳一/ワン・チュアンイー)と茅乃の親友・春川(蔡裴琳/エリ・ツァイ)のカップル。しっかり者のくせにデートの時間をすぐ忘れたりする上条はけっこうタイプ。 ま、「それが問題?」というようなことに悩む場面もあるにはあるのだが、さしひいてもプラス、だな。 「悪魔で候/悪魔在身邊」2005年台湾 出演:マイク・ハー、レイニー・ヤン、ワン・チュアンイー、フィガロ・ツェンほか ▲
by hikoso
| 2010-03-18 06:01
| TV番組・ドラマ・DVD
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2010年 03月 10日
![]() 私の職場で取り扱っている既製品のなかに、富士印というメーカーのゴム印がある。御中元、御歳暮、御礼、御見舞いなど、のし袋やのし紙に押すおなじみのゴム印がずらりと揃っているほか、会社で使う事務用のゴム印などもある。このへんは比較的オーソドックスなラインナップだ。 ところが、あまり厚くないこのメーカーのカタログをめくると、どこかで見た懐かしい絵柄のゴム印があったりする。例えば学校の評価用ゴム印セット。昔小学校で先生が押してくれたカエルの絵の「たいへんよくできました」、おたまじゃくしの絵の「がんばりましょう」がそっくりそのまま。桜が満開の「たいへんよくできました」もある。今でこそ、キャラクターものやカワイイイラストの教育用ゴム印がたくさん出ているが、昔は本当に決まりきったものしかなかったのだろう。そうした定番こそ懐かしさを醸し出してくれるのだが・・・ さらに遡って幼稚園の出席ノートに押してもらったゴム印を見つけたときは心底驚いた。かかしやらイチョウの葉やら、季節に応じた絵柄の12ヶ月のスタンプ+休、たしか缼という文字のものもあったのではなかろうか(この文字でよいかどうかちと不安だが、欠席の欠と同じ意味かな)。 そんなわけで、懐かしさとレトロな雰囲気に完全に負け、買ってしまったのがこちら。 松、竹、梅ですよ。枠がいいでしょう。しかもこの梅の文字ったら。 左は漢数字旧字体のスタンプ。こちらも、たまらずに買ってしまったけれど、いったいどこに押そうかしら。 ともあれ。富士印、ばんざい! ▲
by hikoso
| 2010-03-10 06:28
| はんこ
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2010年 03月 08日
![]() 届いたパッケージは小包を模してあり、荷紐に荷札までついている。 そうだった。昔は荷物を送るのも今のように簡単ではなかったのだ。小包は何重にも包んで荷紐をかけ、その紐に宛先と送り主を書いた荷札をくくりつけて郵便局に持ち込んだ。もちろん今日出して明日届くなんてとても無理だったはず(・・・なーんて。子供の頃の話なので、うろ覚えで書いています)。 このパッケージに貼ってある切手は大分昔のものだけれど、消印は12年・・・平成ですよね。切手の額面は合っているのかな?少なくないかな、なんて揚げ足取りをしたくなったりもするがそれは置いといて。 台湾からの引き上げ船で書かれた手紙を読む日本語のナレーションと曲が交互に並べられ、映画のシーンがまぶたに浮かんでくる。ナレーター・蔭山征彦さんの清々しく優しいトーンの語り口が耳に心地よく、若き思いを残したまま台湾の地を去らねばならなかった青年の胸のうちがまっすぐに伝わってくる。 范逸臣の発音はとってもはっきりしているので聞き取りやすい。 「野ばら」は一緒に口ずさみながらクライマックスのシーンを思い出し、涙がこみあげてきた。 日本版には16曲目にボーナスとして中孝介の曲が入っているようだが、私の買ったあちら盤は15曲まで。 それでも十分堪能できる1枚だ。 「海角七号 Cape No.7」オリジナルサウンドトラック ▲
by hikoso
| 2010-03-08 23:38
| サントラ
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2010年 03月 07日
![]() でも先日、笑福亭鶴瓶司会のトーク番組「A-studio」をみて少しだけ彼女のイメージがプラスに変わった。映像から受ける印象で好き嫌いの判断をされるのは有名人の宿命だろうが、こうしたトーク番組からほんの少しでもその人の内面を感じられると、得した気分になる。「A-studio」を見てからの観賞でよかった。 ストーリー:倫子(柴咲コウ)は奔放に生きる母(余貴美子)と折り合えず、子供の頃から祖母の元で暮らしていた。祖母から料理の手ほどきを受けて育ち、大人になって“カレーの国の人”と一緒に店を開くつもりでいた彼女。しかしその男はある日突然一切を持っていなくなってしまった。 ショックで言葉を失い、行く当てもなく母の元に戻った倫子は、母のかわいがっている食通の豚・エルメスの食べるパンを作るうち、食堂を始めようと思いつく。 母と娘の関係は人さまざまだろう。 私の母は厳しい祖父の下で育った八人兄妹弟の長女で、料理も掃除も完璧にこなすまじめな人だったが、娘の私は反動でか、埃くらいでは人は死なないと思うような人間に育ってしまった。母はせっせと私の世話を焼いてくれたがお手伝いの強要もしたので、私は家事があまり好きでなくなった。つまり私は、手本がいいゆえにある程度はできるが、自分から進んではやらない人間になった。母は遊んで楽しい友のような存在ではなく、あくまでも母だった。 そんな私の子育てモットーは「自分のことは自分で」。私から干渉されない代わりにこまごまと手をかけられることもなく育った娘は、妙に世慣れた外向きの(外面のいい)人間になった。手先は器用だが手本が悪かったゆえに家事を自らさっさとやるタイプではない(結果的には私と同じ様な行動パターン)。彼女は私をいわゆるお母さんらしいお母さんとは思っていないだろう。はてさてこの子がどんな母になるのか、自分の責任でもあり大いに心配だ・・・っと、この映画の倫子と母親の関係をみながらつい余計なことを考えてしまった。 この映画の中で、母は倫子に対して素直になれず、弱みを見せられない。だから倫子は母を理解できず、傷ついて母の元を離れ身を守ろうとする。倫子が母の思いを知るのはずっと後のこと・・・親と子の、近すぎるゆえに寄り添えない関係性が私にはよく理解できた。 上手に自分を伝えることのできる人間ばかりではないのだ。親がそんな人間だった場合、子供に親の思いを斟酌できるはずがない。そんな親子の関係性の複雑さを考えさせられる作品だ。 もうひとつの見どころは料理。心のこもった料理が食べた人をどれほど元気づけ、支えるものか。私自身は入れ込むことのできなかった弱みの部分・・・その大切さをしみじみと感じさせられる。倫子のレシピ帳の表紙は、幼い頃彼女が着ていたワンピースと同じ柄。おばあちゃんから受け継いだ糠床と同じく、倫子の人生を乗せた大切なファイルなのだ。そんなレシピ帳が羨ましい。 最後に。親はどうあるべきかという基準も曖昧になっている昨今。せめて子どもが心身ともに傷つかず成長していける権利くらいは守られる世の中でありますように。 『食堂かたつむり』2010年日本 原作:小川糸著『食堂かたつむり』 監督:富永まい 出演:柴咲コウ、余貴美子、ブラザートム、田中哲司、江波杏子、三浦友和、志田未来、桜田通ほか ▲
by hikoso
| 2010-03-07 14:30
| 映画
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