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2008年 10月 24日
「人生最後の日をどう過ごしますか?」
そう尋ねられたら何と答えようか?少し前までは「何かスペシャルなことをして、華々しく終わりたい」なんて考えをめぐらせたものだが、最近やっと分った。いつもと同じささやかな1日を過ごし、眠るように逝ければそれがいちばんいいのだと。 ストーリー:「国家繁栄維持法」は国民に死の恐怖を植え付け、生命の価値に対する意識を高めるため定められた法律。国民は小学校入学前に国繁予防注射の接種を受ける。そしてそのアンプルに含まれているナノカプセルによって、1000人に1人が18~24歳までに命を奪われるよう仕組まれている。 国家公務員の藤本(松田翔太)は、厚生保健省に配属され、国繁法に基づいて命を終える若者に死亡予告書=イキガミを配達する仕事についたばかり。最初の配達相手は、母一人子一人で暮らす売り出し中のシンガー、田辺翼(金井勇太)だった。 公開前、ミニ冊子が劇場に置かれ、マンガ「イキガミ」の一部が紹介された。この手は『デトロイト・メタル・シティ』の時と同じで、物語の内容を予め理解できていい。 死亡予告書“イキガミ”は戦争中の召集令状=赤紙とだぶり、そのイキガミを配る藤本はさしづめ死神のような存在か。これは誰にも容易に連想されそうなイメージである分、絶妙なネーミングではないかと思う。 作品はイキガミを受け取った3人の若者の、最後の24時間をたどる内容。そして職務とはいえ人の最後の1日に関わってしまった藤本の葛藤を描く。 個人的には最初の受け取り主・田辺のかつての路上ライブ仲間、森尾(塚本高史)がツボだった。塚本は今年の成長株かも。 命の重さを人に知らしめるために、国家が人の命に関与する国繁法。一瞬「それもアリかな」などと思ってしまい、自分で怖くなった。犠牲もやむなし、などという考えは間違っている。 しかし、多くの人が「違う」と叫んでも、国の方針も世の中の常識と言われるものも容易には変わらない。「君の思いは脳の内に秘めておきなさい。時が来るまで」と藤本を諌める上司(笹野高史)の言葉に深くうなずいてしまった。 『イキガミ』2008年日本 原作:間瀬元朗「イキガミ」 監督:瀧本智行 出演:松田翔太、金井勇太、塚本高史、佐野和真、風吹ジュン、塩見三省、成海璃子、山田孝之ほか
by hikoso
| 2008-10-24 23:11
| 映画
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